ヒアルロン酸注射とは
ヒアルロン酸とは直鎖状のグリコサミノグリカン(ムコ多糖)の一種で、体内に広く存在する保水成分です。ヒアルロン酸は1gで約6Lの水分を保持する能力があり、肌に潤いを与えてくれます。ヒアルロン酸は20代をピークに体内での量が減少し始め、40代後半には顕著に減少します。そのため、この世代を境に肌の乾燥や弾力性が失われていきます。
これをヒアルロン酸注射として注入することにより、肌のハリや弾力の改善、シワやたるみの改善、唇や顎の形を整えるなどの効果を得ることができます。ダウンタイムが少なく、効果をすぐに実感できる施術です。
ヒアルロン酸注射の仕組み
ヒアルロン酸を肌の真皮層に注射することで、肌を内側から持ち上げることでシワやたるみ、輪郭形成などの効果を得ることができます。ヒアルロン酸は元々体内に存在する成分であることからアレルギーを起こしてしまう確率が低く、自然に吸収されて消失していきます。
ヒアルロン酸注射の効果
ヒアルロン酸注射の主な効果は以下の通りです。
- 肌のハリや弾力の改善
- シワやたるみの改善
- 鼻筋、顎の輪郭形成
- 唇のボリュームアップ
加齢に伴い、顔のシワやたるみが目立つようになった方には、ヒアルロン酸注射が効果的です。特にほうれい線や目尻のシワを改善したい方に向いています。また、ヒアルロン酸は保水力が高いため、乾燥肌や弾力が失われた肌を改善したい方にもおすすめです。施術後は肌の潤いとハリの改善を期待できます。
ヒアルロン酸注射は鼻筋を高くしたり、顎をシャープにしたりするなど、顔の輪郭を整えたい方にも適しています。ヒアルロン酸注入で理想的なフェイスラインを作ることを期待することができます。
ヒアルロン酸注射で使用する薬剤
ヒアルロン酸注射で使用できる薬剤には数多くの種類があります。当院で使用しているヒアルロン酸製剤として、NeuramisとJuvederm Vistaを紹介します。
Neuramis
Neuramis(ニューラミス)シリーズは韓国のメディトックス社が製造するヒアルロン酸製剤で、LIGHT、VOLUME、DEEPなどの種類があります。顔のシワやボリューム不足を改善するために広く使用されています。
2011年に韓国のMFDS(食品医薬品安全処)から承認を受け、現在は世界50ヶ国以上で販売されています。バイオテクノロジーによって生成されたヒアルロン酸が主成分で、FDAおよびEDQMに登録された高品質の原材料を使用しています。
リドカインが含まれているため、注入時の痛みが軽減されるのもメリットです。シワの改善や輪郭形成、ボリュームアップに効果的で、自然な仕上がりが期待できます。Neuramisシリーズの特徴は以下の通りです。
Neuramis LIGHT | Neuramis VOLUME | Neuramis DEEP | |
---|---|---|---|
ヒアルロン酸濃度 | 20 mg/mL | 20 mg/mL | 20 mg/mL |
特徴 | 軽量で柔らかいテクスチャが特徴的で、細かいシワや皮膚の潤い改善に適している。 | 高いボリュームを提供し、輪郭形成に特化している。強い支持力を持つ。 | しっかりとしたテクスチャで粘性が高く、深いシワや凹みに適している。 |
主な適応部位 | 小じわ、目元、肌の保湿 | 鼻、顎、頬などのボリュームアップ | ほうれい線や深いシワ |
効果の持続期間 | 約3〜6ヵ月 | 約6〜12ヵ月 | 約6〜12ヵ月 |
Juvederm Vista
Juvederm Vista(ジュビダームビスタ)とはアメリカのアラガン社が製造するヒアルロン酸製剤で、VOLBELLA、VOLUMA、VOLIFT、VOLUXなどの種類があります。
高分子量と低分子量のヒアルロン酸を効率的に配合することで、持続性と自然な仕上がりを実現しています。注入時のイメージ通りの仕上がりが期待できることが特徴的です。またリドカインが含まれているため、注入時の痛みが軽減されています。Juvederm Vistaシリーズの特徴は以下の通りです。
VOLBELLA | VOLUMA | VOLIFT | VOLUX | |
---|---|---|---|---|
ヒアルロン酸濃度 | 15 mg/mL | 20 mg/mL | 17.5 mg/mL | 20 mg/mL |
特徴 | 柔らかく、なめらかな質感で、涙袋や唇に特化している | 高いボリュームと持続力を持つ | VYCROSS技術により適度な柔らかさとリフト力を持つ | 粘度が高く、形状記憶性が強い |
主な適応部位 | 涙袋や唇のボリュームアップ、細かいシワの改善 | 頬や顎、こめかみなどのボリュームアップ | シワの改善やボリュームロスの補充に適している | 鼻や顎などの輪郭形成に最適 |
効果の持続期間 | 約12ヵ月 | 約18〜24ヵ月 | 約12〜18ヵ月 | 約18ヵ月以上 |
NeuramisとJuvederm Vistaの違い
NeuramisとJuvederm Vistaはどちらもヒアルロン酸製剤です。NeuramisにもJuvederm Vistaにも様々な種類があります。それぞれ特徴が異なりますが、主に以下のような違いがあります。
Neuramis | Juvederm Vista | |
---|---|---|
製造会社 | メディトックス(韓国) | アラガン(アメリカ) |
持続期間 | 比較的短い | 比較的長い |
値段 | 比較的安価 | 比較的高価 |
NeuramisにもJuvederm Vistaにも様々な種類があり、それぞれに特徴があります。どの薬剤が合っているかは医師とも相談しながら決めていただくことが推奨されます。
ヒアルロン酸注射はこのような方におすすめ
- ハリや弾力のある若々しい肌を取り戻したい
- シワやたるみ、ほうれい線が気になる
- 肌にメスを入れることに抵抗がある
- すぐに効果を実感したい
ヒアルロン酸注射の効果はどのくらい続くか
効果が出るまでの時間
ヒアルロン酸注射は、施術後すぐに効果を感じることができる美容施術だと言われています。注入されたヒアルロン酸が皮膚組織内で水分を吸収することで、シワやたるみが即座に改善されることが期待できます。
ただし注入される部位によって即効性には違いがあると言われています。例えば、目元や口元など皮膚が薄い部位では即効性が高く感じられる一方で、頬や顎など皮下脂肪が豊富な部位では効果の発現に時間がかかることがあります。
効果の持続期間
ヒアルロン酸の効果は通常6ヵ月から1年程度持続しますが、使用する製剤や注入部位によって異なります。例えば、硬めのヒアルロン酸は顎や鼻などに使用されることが多く、比較的長く効果が持続すると言われています。
ヒアルロン酸注射のメリット
ヒアルロン酸注射には主に以下のメリットがあります。
- シワの改善や、肌のハリ、弾力の向上が期待できる
- 施術時間が短い
- すぐに効果を実感できる
- 外科的手術よりダウンタイムが短い
ヒアルロン酸は非常に高い保水力を持ち、1gで約6リットルの水分を保持する能力があります。ヒアルロン酸の注入では真皮の内側から肌がふっくらと持ち上がり、シワの溝が埋まることにより、ほうれい線や目尻のシワが目立たなくなることが期待できます。ヒアルロン酸の注入で肌に潤いを与えることで、ハリと弾力も向上すると言われています。
注入する箇所にもよりますが、概ね15分程度で施術が終了します。短時間で終わることから仕事終わりや隙間時間で施術を受けることができます。
またヒアルロン酸注射では肌を内側から持ち上げるため、施術直後から効果を実感できることが多いです。
ヒアルロン酸注射は外科的手術と違って切開をしないため、ダウンタイムも比較的短くて済みます。翌日からメイクが可能で、日常生活への影響も最小限に抑えることができます。
ヒアルロン酸注射のデメリット
ヒアルロン酸注射には主に以下のデメリットがあります。
- 効果は永久的ではない
- 副作用として内出血や腫れなどがある
ヒアルロン酸は注入後少しずつ体内に吸収されるため、効果は長くても1年程度、短いと3ヶ月ほどで消失してしまうと言われています。副作用としては内出血や腫れなどがあります。重篤な合併症としては血流障害や感染症もあり、注意が必要です。
ヒアルロン酸注射が適さない方
ヒアルロン酸注射はシワの改善、肌のハリ、弾力の向上など様々な美肌効果が期待できます。しかし全ての人に推奨できる施術ではありません。以下に紹介する禁忌に該当する方は、ヒアルロン酸注射を受ける前に必ず医師に相談するようにしましょう。
- アレルギーがある方
- 感染症がある方
- 妊娠中または授乳中の方
- 特定の薬剤を服用中の方
ヒアルロン酸自体は体内にも存在する成分ですが、ヒアルロン酸製剤に含まれる添加物に対してアレルギーを起こしてしまう場合があります。過去にヒアルロン酸注射でアレルギーを起こしたことがある方は注意が必要です。
注入部位に化膿したニキビや皮膚炎がある場合、ヒアルロン酸を注入することで感染症の発生・増悪を引き起こす可能性があります。施術前に肌の状態を確認することが重要になります。
妊娠中や授乳中の方に対するヒアルロン酸注射は、安全性が十分に確立されていません。ホルモンバランスの変化や胎児への影響を考慮し、ヒアルロン酸注入を避けることが推奨されます。
いわゆる血液サラサラの薬と言われるような抗血小板薬・抗凝固薬を服用している方や、血液凝固異常がある方は、出血や内出血のリスクが高まります。また、免疫抑制剤を使用している方もヒアルロン酸注射を避けるべきだと言われています。これらの場合は、事前に医師に相談することが重要です。